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ミステリ&コミック中心のオンライン古書店「黒猫亭」からのお知らせと、店主&番頭による雑記など。
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幸か不幸か私にコレクターの素養はないし、基本的に売れれば何でも嬉しい(正直でスミマセン)けれど、やはり何が一番嬉しいかと問われれば「自分の好きな本が売れたとき」、これにつきる。まるで旧知の友を得た気分、ネットを彷徨い自分と趣味趣向が似ている人を発見したときの高揚感にも似てるかな? 昨日、とても思い出深い本が売れたので、ちょっと書いてみる。その思い出深い本というのは、佐々木淳子の「Who!」ほか数点。ほか数点の著者にも思いいれはあるが、それはまた別の機会ということにして話を進めたい。

初めて佐々木淳子のコミックと出会ったのは中坊の頃、友人宅でハードカバーの「Who!」を読んだときだ。それまでSFとは無縁にきた私だったので、何これ何これ??面白いじゃんといった状況になった。特に興味惹かれたのが、夢をモチーフにした「赤い壁」と時間SFっぽいストーリー「リディアの住む時に…」で、リディアのほうは藤子・F・不二雄のSF短編に近い味わいがあり、もっと言ってしまえば「ドラえもんだらけ」だなと思い、ミステリと同じくらい時間SFが好きな私は大興奮した。これはぜひ他の佐々木淳子作品を読まなくては、と書店をまわって購入したのが「那由他」。これは短編が収録された「Who!」とは違い、連載モノで全3巻のSF、周囲の人たちが次々と異星人(?)に襲われ、主人公・那由他はエスパーとしての能力に目覚めるといったストーリー。「那由他」では、ミステリとSFはラストの落とし方で識別するんだろうてなことをうっすらと感じ取り、また少年キロ(健気に那由他を慕うが、ある事件により全面拒否されてしまう。やがて青年に成長するも、中身は少年の心)のキャラ形成が、のちに大ブレイクする日渡早紀の「ぼくの地球を守って」、通称・ぼく地球(たま)の小林倫に通じる"萌えキャラ"の原型だったのでは?てなことも考えるが、それはもちろん先の話。

"その日、世界中の人間が同じ夢を見た"という当時としてはセンセーショナルな始まりの「ダークグリーン」、コンピューター管理下の地球で実験体として隔離生活を送っていた主人公ユズがフリークス(この設定もかなり斬新だった)な仲間たちと自分探し(自分は何者なのかという意の)の旅に出る「ブレーメン5」など、この頃の佐々木淳子作品はちょっと哲学じみたところがあったので、今にして思えば賛否両論だったのかなとも思う。というのも、活躍の場を角川書店系に移してからは、「青い竜の谷」といったエンタメ傾向の強い作風になったから思うことで。ちなみに、「青い竜の谷」の冒頭シーンは、映画「ジュラシック・パーク」にとてもよく似ていたが、発表年が同じ1990年(映画は1993年だが、マイクル・クライトンの小説は1990年)なので、シンクロニシティと考えればそれもまた一興(一驚)、SFな人たちらしい偶然の一致、大変興味深くある。ともあれ、続編とかウサギじゃなく、別の新しいアイデアの佐々木SFをぜひ!と、昔からのファンである私は願ってやまないのだ。
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